前回に引き続き、八幡浜コワーキングスペース「コダテル」を活用する会員の皆様の活動をコラムとして連載していきます。会員さんは、「コダテル」で自分でやりたいことを企てたり、新しいことを学んだり、仕事や勉強をするスペースとして様々な利用方法をされています。そんな会員さんの日々の活動や、企てについて連載でご紹介していきます。
何か新しいことを始めたい人や、自分の生活に「非日常」の時間と空間が欲しい人、仲間が欲しい人など、何かヒントが見つかるかもしれません。それでは連載、第三回目の始まりです。第三回目は、八幡浜高校の高校3年生矢野光士郎くんです。
コワーキングスペースで真剣な表情で議論を進めている高校生。
「八幡浜市民に対して、もっと八幡浜に愛着を持ってもらうPR動画を作ることを企画してました。」
そう話してくれたのは、現在、八幡浜高校に通う矢野光士郎くん。高校3年生の受験シーズン真っ盛りだそうです。
光士郎くんがコワーキングスペース「コダテル」に出会ったのは、1年生の春休み。2年生になる春にコダテルに入会されています。もともと八幡浜高校商業研究部「A★KIND」(あきんど)に所属していた光士郎くんは、部活動の中でコワーキングスペース「コダテル」を知りました。そこで、見学に行ったのがコダテルで活動をするきっかけになったとのことです。
内装もすごく綺麗で、今まで見たことがなかった施設でした。なんでもして良いと言うのも面白そうと感じました。
と話してくれました。そんな光士郎くんは、高校帰りに時々コダテルに立ち寄り、勉強したり、休憩するのに利用しています。
学業と、部活動など、平日、休日ともに、高校生としての日常を過ごし、慌ただしい生活を送っていた光士郎くんにある話が舞い込みます。それがコワーキングスペース”コダテル”の「チャレンジプログラム」というプロジェクトでした。チャレンジプログラムは、毎年夏に八幡浜市の北浜公園で開催される「We.Wantマルシェ」に向けて、中高生がグループを組み、出店するというチャレンジプログラムです。そこでは大人さながら、出店に向けて計画・交渉、資金調達など、出店に向けての企てを実施するという内容でした。新しいことに挑戦することへの抵抗がない光士郎くんは、好奇心もあり、これを機に人との繋がりも作りたいとの思いから挑戦することにしました。
光士郎くんは2年生の時に初めてチャレンジプログラムに参加しました。その時は、メンバーとしての参加。リーダーは八幡浜工業高校の人で、八幡浜工業高校の3人が中心でした。
コミュニケーションを取らないといけず、自分で話しかけるのも勇気がいりました。
初めは緊張していた光士郎くんも、一緒に組んだメンバーと今でも挨拶をする関係性を築くことができたそうです。新しい世界に自ら飛び込んだ光士郎くんは高校とは違う社会の中で、新しく出会った人と関係性を築くことを学びます。初めて光士郎くんが参加したプロジェクトは、流しそうめんのお店を出店することでした。
自分たちが想定したよりも、流しそうめんが大反響であり、茹でるのも間に合わなくなりました。自分たちが立てた計画だったからか、途中でいろんなことが変更になってしまったり、当日ハプニング続きで臨機応変に対応しなければなりませんでした。
光士郎くんはここから、物事が計画通りに行かなかった時に臨機応変に対応する力が上がったそうです。そして光士郎くんは、1回目のチャレンジプログラムでは、自分たちが企画した達成感はあったけど、積極的にアイディアを出したわけではなかったということで、高校3年生の夏、自らリーダーとして2回目のチャレンジプログラムに参加することに決めました。
2回目のチャレンジプログラムは、中学生2人、八幡浜高校の生徒が光士郎くんを含めて2人、川之石高校の生徒が1名の計5人での挑戦。そこで光士郎くんはリーダーとしての難しさを痛感します。メンバーは二人が中学生。リーダーである自分がある程度予定を決めて、何をするかを考えないと中学生は何をして良いかわからない状態であったそうです。
自分が引っ張らないとと思っていたんです。ただ、そうしているうちに、中学生の意見を取り入れられていないことに気づきました。途中で薄々感じていましたが、意見を出してもらうように、引き出す必要がありました。これは後から気づき反省した点です。
最初はコミュニケーションをとることから始めれば良かったのですが、最初から目的地のお店を作ることに一直線になってしまいました。もう少し、コミュニケーションをとるところから始めれば良かったです。
当日接客する際に、自分が準備に行けない状態であったので、前もって、他のメンバーに準備を振り分け任せるなどできれば良かったと、後で感じました。
と話してくれました。リーダーとして、プロジェクトを進めていく中での多くの気づきや学びを得ていると感じました。
一方で光士郎くんは、自分の企画したお店出店に対して、手応え感じたことも多くあったようです。
今回のチャレンジプロジェクトは、射的とドリンクにしました。射的の景品は八幡浜のPRも兼ねて、八幡浜のお菓子を景品にしました。
出店に向けての元手資金は1000円からスタートで、コダテルの中で、中間報告をして会員の方に融資をお願いしました。
また、Polcaというクラウドファンディングの簡易サービスを使用して、自分で、目的と達成したいことの文書を書いて資金を募りました。全く知らない人たちから、自分たちの活動を見て支援してくれる人がいるのも嬉しかったです。出店後、自分たちで企画して出店したお店から利益がでて、お客様に受け入れてもらえたのが嬉しかったです。
自分で企画すること。自分のやっていることを発信し、事業資金を募ること。計画を立てて、活動を実行すること。お店を出店するという一連の経験をすることで、光士郎くんは、社会に出る実践を体験することができたようです。
光士郎くんの話を聞く中で、学校で学ぶことと、コダテルのように、学校以外での学ぶことで、高校生にとっての3つの側面で良い効果があることがわかってきました。
コワーキングスペース”コダテル”と高校の違いは、自由度の高さが違っています。決められたことをやるのではなく、自分で決めたことをやっている感覚があります。
光士郎くんはそう語ってくれました。学校以外で学ぶことで、学校で教科の勉強をしながら、自分の興味がある方向性を見つけることができます。そして、学校以外のコダテルのような場所で、自分の興味を探求し、それを社会にでたときの実践の場として、高校生は実体験から学びを得ることができます。
インプットする場を学校、アウトプットする場を学校外とすることにより、学ぶ内容も、学ぶということに対する姿勢も方法も変化するのではないかと考えられます。
高校生という経験も浅い中、チャレンジプログラムでは、コダテルの大人の会員の方にアドバイスを頂きました。例えば一般的なお店であれば考えているような料金設定や、いかにお客さんの数を想定するかなどの方法を教えてもらいました。
光士郎くんの話から伺えたように、高校生活をしていると交流できる大人は限られた人になってしまいます。しかし、高校とはまた別の大人と関わることができるコミュニティを持つことで、学校外で働いている社会人や、自分で事業を起こそうとしている大人と関わるり、多くのことを学びながら社会で生きていく力を身につけることができるのではないかと考えられます。
コダテルで、相手の意見も否定せず、意見を出していく方法を学びました。また、プログラムを通して、いろんな人に出会って、話したこともあり、まずはバイアスを持たない。一旦、否定せずに受け入れることをびました。また一風かわったものの視点を試してみることや、怖いけれども、一歩踏み出してやってみることを学びました。どうしたら実現できるかを考えてやってみたほうが、後々、他のことで生きてくるし、やってみたことは何も無駄にならないことがわかりました。
と光士郎くんは話してくれました。
社会にでると、多様な人や意見が異なる人と関わることは避けられません。その中で一旦、相手の意見を受け入れ、自分なりに解釈しながら相手とコミュニケーションをとるということが大切になるでしょう。また、変化が多い世の中において、不確定要素が多いからこそ、バイアスを持たずに、実現できる方へと、何でも試していく姿勢がこれからの社会では重要になるのではないでしょうか。光士郎くんは、コダテルやチャレンジプログラムという学校外の場所を通して、社会に出るための準備をしているのだろうと感じることができました。
「八幡浜の第一次産業を活性化できるような起業家なりたい」
光士郎くんは、そう話してくれました。第一次産業が盛んな八幡浜で、第一次産業を支援するような会社を起業するのが今の目標であるとのことです。そのために、大学では、地域の会社や行政と関わりながら、地域の発展を目指すために、起業や経営について学べるコースに行きたいと話してくれました。
コダテルで出会った企てを持つ大人達や、チャレンジプログラムが、光士郎くんに高校生活の日常とは異なる、非日常の体験をもたらし、その経験が将来の夢に繋がったのではないかと思います。
非日常を体験してみたい高校生。
学校外の社会と繋がる場所が欲しい高校生。
是非コダテルに足を運んでみてはいかがでしょうか。
ここで、自分のやりたい!を見つけることができるかもしれません。
「こんなこと企てたいんです!」
「あんなことできますか?」… などなど、
みんなで企てる、ヒミツキチのこと、
なんでもお答えします。
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